「another BATIK ~バビロンの丘にいく~」のパンフの片隅に載っていた笠井叡氏の一文2009/03/27 01:15:25

笠井叡


自己愛を含めて
愛なくして憎悪は有り得ない
だから
無差別に殺人することと無差別に人を愛することは
深いところで
ひとつに繋がっている
人と話をしていてコミュニケーション不可能に陥る
全然通じない
内側からこみ上げる情感だけが
高揚する
キレそうになる
暴力オーラが沸騰する
そのような状態に陥ったら私は
向かい合っている人の貝殻状の
耳だけをじっと見つめることにしている
耳の形は誰でも花のように美しく
私の怒りは
その花の形にまでは
到達しない
カラダのカタチは不思議なもの
それはひとつの黙示
人のカラダのカタチと動きは
「死者の歯」のように黙しているが
それはすべての言葉を超えた
メッセージを送っている
人間関係の絶望的な困難さは
言葉によるコミュニケーションと
人間存在という例えようもない深みに
起因する
この例えようもない深みと憎悪と愛
ダンスはひとつの黙示録
憎悪が沸騰点に達したところで開花する黙示録の花
バビロンの丘から歌声が聞こえる
宇宙的犯罪者でなければ黙示録の花は咲かない
気の遠くなるようないとおしさの気分
世界のすべての都市に広がる
魔女の厨
この厨はバビロンの娼婦の
胎内の内に眠り続けている
ダンスは演劇には
なりえない
それはひとつの秘儀
すべての言葉を溶鉱炉の中に投げ入れる
黙示録である
BATIKが
BABYLONに
変化する一瞬