dia de eleggua2011/01/10 19:50:02

dia de eleggua


新年一発目は、エレグアの日ということで経堂のスタジオでフィエスタ。

外は寒風吹き荒む中、スタジオのエアコンを30℃くらいまで上げて、皆でラム飲みながら汗だくになって叩き、唄い、そして踊る。

何だかよくわからないけど理屈抜きに愉しい。民の音楽の愉しみ方ってヤッパリこうあるべきなんだと思う。

エレグアだけでアッという間に4時間…


No Music, No Life.

02 Oru de Igbodu – 太鼓のみの演奏2011/01/10 22:18:09

Vol. 2 Oru de Igbodu – 太鼓のみの演奏


 奴隷時代にアフリカ各地からキューバに渡った中で、ヨルバの文化がもっとも広く根付いた。他のアフリカ文化の要素は、その特徴に固執することなくしだいにキューバ人の中に溶け込んでいった。数多くのヨルバ民族がキューバに渡ったが、彼らの文化はすでに発達しており、近代までもたらされたのだと見られる。キューバでは彼らはルクミとして知られ、使用人ならびに他の作業にあたる奴隷として使われた。

 ヨルバの音楽や踊りについては、フェルナンド・オルティスなどの研究者による多数の文献や、芸術または文化作品により、仔細に知ることが出来る。

 ヨルバ文化で今日においてもなお多くの宗教儀式に見られる三組の楽器はバタドラムであり、神聖な楽器とされる。聖人の誕生日といった祝祭などでは、瓢箪や空洞状の果物をビーズのついた網で覆ったアブウェもしくはチェケレとベンベ・ドラムというキューバ中央部で広く用いられている楽器が使われる。

 洗礼の儀式はバタドラムによって執り行われ、これはバタでイヤウォ(洗礼後、最初の年に与えられる名前)を贈るものである。またバタは、葬式や先祖の追悼などの儀式でも神聖な太鼓として使われる。これらの儀式で使われる前には、バタの清めの儀式がなされなければならない。

 三つのバタドラムとは、一番大きく低音で語り手の役割を持つのがイヤで、中くらいのものがイトテレ、一番小さなものがオコンコロである。それぞれ両端に大きさの異なる皮が張られている。膝の上に横にして置くか、革紐で腰や首から提げで演奏される。片端へ次第にすぼまった円柱形である。両端に張られた皮は、N字状に渡された革などでできた何本もの締め紐で繋がっている。イヤの両端にはチャウォロというベルやカスカベレ(特別な形の小さなベル)が付けられ、ドラムと伴に鳴る。儀式で用いられるファデーラ(大きな皮の中央部に貼り付けられる環状の樹脂)は、一番大きな皮の音を変化させるためのものである。これらのドラムもまた、祭式の前には特別な儀式を受ける。

 祭式の始まりには、オルバタといわれるドラム奏者達が全ての聖人や神に祈りの演奏を捧げる。これがOru de Igbodu(または、Oru Seco)である。フェルナンド・オルティスは「Oru de Igboduは、楽器のみで唄は入らない。リズムはバタドラムのみで作られるが、ふたつのチャウォロの金属音も付け足されている。」と述べている。Oru de Igboduは、礼拝の始まりの呼びかけの演奏から成るバタのモユバ(祈祷:ヨルバ語)で始められる。しかしこのモユバや聖人との会話が常になされる訳ではない。

 二十四の聖人がいるが、今ではその地でよく知られている聖人だけが登場するようになった。常に冒頭ではエレグア、オグン、オチョーシの三戦士から始まる。それぞれにヴィロと呼ばれる変化するリズムパターンがある。しかしこれらも次第に忘れられてきている。オルティスによると、これはアフリカからバタが持ち込まれたハバナ周辺の地域でよく見られる。一方マタンサスでは、それほど複雑ではなくヴィロやバリエーションも少ない。

 マタンサス市のヴェラルデ通りにあるリカルド(ファントマ)スアレス氏邸では、このバタドラムの演奏と古い唄をいくつか収録することが出来た。彼は最も尊崇されているオルバタのひとりで、然るべき儀式を経て作られるドラムの製作技術の専門家であり、またルクミ語と最古のリズムと唄を知る人物でもある。この収録曲では、三つのドラムの計六面から奏でられるそれぞれ違う音程の音がチャウォロの音とともに、オリシャとの会話を確立する役割を果たしている様を聞くことが出来る。

 アルヘリエス・レオンは、「この低音域の楽器において、多様な奏法により作られる異なる音色が【話す】というリズムを非常に象徴的にあらわし、これにより奏者はヨルバ語の抑揚で繰り返される【話す】、【言う】事が可能になる。これは特にイヤの演奏技術によって成されるものである。」と述べている。

 およそ四十年前にはまだ、ヨルバ語の短いフレーズを模して演奏し、それにパルラを用いて応えるという会話の出来る老練な演奏家もいた。(五曲目のオルーラでは、マエストロであるフリオ・スアレスの演奏によるイヤで唄われるフレーズをはっきり聴くことが出来る。)中音と高音域の楽器は、リズミカルなパターンを繰り返し演奏する。このリズミカルな装飾は聖人や神話の場面(オリシャの道と呼ばれ、それぞれの神の逸話のようなもの。)によって変化する。「リズムのコンビネーション、特にバタとイエサドラムでは、ソロで演奏するのか唄に合わせて演奏するのかによって、発話のリズム構造と一致してヒン、カ、カンといった擬音節を用いて口述伝承されてきたパターンや構成に従って演奏されるのである。」(レオン)

 オル(オリシャの為のリズムと唄を用いた礼拝)は、常にエレグアすなわち祭式の始まりと終わりの神のリズムで始まる。それにオグン、オチョーシ、ババル・アジェ、オルーラ、アヤクタ(アヤン・ンコ・タ)からアガユ、チャンゴー、オバ、オヤ、イェマヤ、オバタラ、オチュン、ジェガ、そしてイベジと続く。最後がエレグアではない。なぜならオルの後も異なるオリシャへ捧げる唄や踊りが続くからである。祭式は最終的に、オリシャまたはその家の聖人への唄が数多く唄われた後に、エレグアへの別の唄で終わる。この家もしくはイレ・オチャでは、この家にとって最も代表的な十五の聖人のみが演奏されている。場合によっては、ラ・ハバナのドラム奏者によるものとはかなり異なるリズムパターンが使われている。これは彼らの知識や宗教的な階級ゆえに、崇拝するグループを大きな祭礼に招かないという意味ではない。

 フリオ・スアレスの知性や品格そして寛容な人柄を偲び、敬愛と追悼の念を捧げる。



■収録曲

1.  エレグア - 2:37
2.  オグン - 1:28
3.  オチョーシ - 2:22
4.  ババル・アジェ - 1:15
5.  オルーラ - 1:26
6.  アガユ - 1:32
7.  アヤクタからアガユ - 1:26
8.  チャンゴー - 3:10
9.  オバ - 2:46
10. オヤ - 2:03
11. イェマヤ - 4:36
12. オバタラ - 1:55
13. オチュン - 1:50
14. ジェガ - 1:15
15. イベジ - 0:35
16. チャンゴーの古い唄(ソロ:フリオ・スアレス) - 2:18
17. チャンゴーのもうひとつの唄(ソロ:フリオ・スアレス) - 2:15
18. オグンの唄 - 1:42


Antología de la música afrocubana.
Liner notes by María Teresa Linares. EGREM. col.0011.



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